その若者は、何かに悩んでいた。未来への大いなる不安がそうさせていた。中学時代は、それなりに友人もいたし、親友と呼ばれる人間もいた。でも大人になって、自分自身がどうなっていくのかはまったく見えない未来に大いに不安を抱えていた。
ひとりで、詩を書くことがそのころは好きだった。でも、どれもこれも、ひとつとして明るい詩はない。心の葛藤ばかりを描いた詩だ。文才になんて全くないにひとしいその若者は、書くことで大いなる不安を解消し、書くことによって自分の居場所を見つけていた。それが、本当の心の叫びとは理解していなかったと思うが、唯一、自分をさらけ出せる場所だったのかもしれない。

そして、勝手に詩集を作った。タイトルは「疑心願望」。その若者らしい、詩集のタイトルだ。
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人生

人には、人それぞれの生き方がある。あたりまえことである。
でも、この世の中で、人のいいなりになっている生き方を好む奴がいる。
そんな人生に勝手になってしまったから、どうすることもできない。
あきらめが肝心なのか?

でも、この世の中で、自分の人生を一歩ずつ歩んでいる人もいる。
忘れてはいけないことである。
そんな人生に勝手になってしまったとは、絶対に言わない人である。
あきらめが悪いのである。

奈落の底にいたって、希望を捨てないで、上を向いていれば何かが開けてくる。
人生を着実に歩みたいのなら、希望捨てないで前へ進もう。

それが早道だったりするから。

1979年3月